─症例報告─
海外渡航歴のある父から伝播した侵襲性髄膜炎菌感染症の乳児例
櫻井 朋1, 2), 青木 優一1), 大谷 春菜1), 粟生 耕太1)
1)大和市立病院小児科 2)国立病院機横浜医療センター小児科
侵襲性髄膜炎菌感染症は海外からの輸入や寮における集団発生が知られているが,本邦においては年間40例ほどの稀少な感染症である.当院で集団生活歴のない髄膜炎菌による菌血症を経験したので報告する.症例は7か月男児,発熱を主訴に近医を受診し気道症状および周囲流行に乏しいことから,細菌感染症が疑われ第2病日に当院紹介となった.全身状態良好であったが血液検査で炎症反応の上昇を認め,随伴症状なく尿白血球陰性であったことから潜在性菌血症を疑ってセフォタキシムを開始した.入院時の血液からNeisseria meningitidisが培養され,侵襲性髄膜炎菌感染症と診断した.髄液検査で細胞増多や有意菌の発育はなく,菌血症として加療した.本児の父親にフィリピンへの渡航歴があり,鼻咽頭培養で同菌が分離され,患児と父由来株がいずれも血清型B群・ST-11110であったことから,父からの伝播と考えられた.同居家族や接触した医療スタッフ,同室者には予防的に抗菌薬を投与し,二次感染はみられなかった.COVID-19パンデミック終息に伴い海外渡航が盛んとなった現在,菌血症や髄膜炎を疑った発熱患児では,家族の海外渡航歴の聴取が重要である.
| Key words | 侵襲性髄膜炎菌感染症,輸入感染症,家族内感染,菌血症 |
|---|---|
| 連絡先 | 櫻井 朋 〒245-8575 横浜市戸塚区原宿3-60-2 国立病院機構横浜医療センター小児科 |
| 受付日 | 2025年7月16日 |
| 受理日 | 2026年2月12日 |
小児感染免疫 38 (2):131─136,2026
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