機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

A群レンサ球菌感染後に両側性のTolosa-Hunt症候群を発症した小児例

近藤 拓1), 河野 好彦1), 水谷 修平1), 岩瀬 史歩1), 原 紳也1) 

1)トヨタ記念病院小児科


Tolosa-Hunt症候群(THS)は片側性の眼窩周囲の疼痛と第Ⅲ,第Ⅳまたは第Ⅵ脳神経のいずれか1つ以上の麻痺を特徴とする疾患である.今回,A群レンサ球菌(GAS)感染後に両側性のTHSを発症した症例を経験した.症例は7歳男児.3週間持続する右側頭部痛で入院した.血液検査でASO高値を認め,後に咽頭培養からStreptococcus pyogenesが同定された.入院4日目に右眼の外転制限と右方視時の複視,左側頭部痛が出現し,間欠的腹痛と下腿に隆起を伴う紫斑も認めた.IgA血管炎と診断しプレドニゾロンの経静脈投与を開始したところ,頭痛と外転制限の改善を認めた.入院時の頭部MRI検査で右海綿静脈洞の腫瘤性病変と右内頸動脈の狭窄があることが入院7日目に判明した.造影MRI検査で腫瘤性病変の造影効果を認め,THSと診断した.THSの病因は不明だが,自己免疫疾患に併発した症例やCOVID-19後,COVID-19ワクチン接種後に発症した症例が報告されている.GAS感染は急性リウマチ熱を含む自己免疫疾患を合併することで知られている.本症例では,GAS感染がTHS発症の誘因となった可能性が示唆された.

Key words Tolosa-Hunt症候群,A群β溶血性連鎖球菌,頭痛,複視
連絡先 河野 好彦 〒471-8513 豊田市平和町1-1 トヨタ記念病院小児科
受付日 2025年8月5日
受理日 2025年12月26日

小児感染免疫 38 (1):13─18,2026

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