機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

学童期にHelicobacter pyloriの初感染による急性胃粘膜病変で発症し,持続感染の経過をたどった一例

佐藤 友紀1), 岡野 里香1)

1)広島市立舟入市民病院小児科


Helicobacter pylori(H. pylori)は学童期以降の感染で持続感染となることは少なく,急性胃粘膜病変(AGML)は,成人でH. pyloriの初感染となった時に多いとされる.症例は9歳女児.嘔吐と下痢で発症し,その後下痢は消失したが嘔吐が続き腹痛が出現した.腹痛が強いため入院し,腹部超音波検査で胃前庭部優位に粘膜下層を中心とした全周性の肥厚があり,上部消化管内視鏡検査では胃前庭部に多発性のびらんおよび浅い潰瘍を認めた.AGMLと診断し,絶食とプロトンポンプ阻害薬(PPI)で加療し症状は改善した.H. pyloriに関しては,尿素呼気試験で入院時は陽性(5.4‰),発症2か月後(PPI中止から14日後)は陰性だったが,6か月後,9か月後は陽性だった.9か月後の上部消化管内視鏡検査で鳥肌胃炎を認め,この時採取した胃粘膜からH. pyloriが培養された.H. pylori持続感染と診断し,感受性を踏まえて除菌を行った.本例はAGML発症後に行った尿素呼気試験では一度陰性(0.7‰)となったが,その後に再陽性(10.1‰)になりH. pyloriの持続感染の診断に至った.H. pylori初感染によるAGMLでは尿素呼気試験で陰性となった場合でも経過観察を行い,持続感染であれば適切に除菌を行うことが重要である.

Key words Helicobacter pylori,急性胃粘膜病変,鳥肌胃炎,自然除菌,持続感染
連絡先 佐藤 友紀 〒730-0844 広島市中区舟入幸町14-11 広島市立舟入市民病院小児科
受付日 2025年8月25日
受理日 2025年12月23日

小児感染免疫 38 (1):5─12,2026

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