機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

再発時の顔面神経麻痺の原因が無疱疹性帯状疱疹であった水痘罹患歴のない15歳男児例

近藤 耀太郎1), 後藤 研誠1), 栗山 陽菜1), 杉浦 正宜1), 竹本 康二1), 西村 直子1), 尾崎 隆男1)

1)江南厚生病院こども医療センター


小児の顔面神経麻痺の原因には特発性のBell麻痺が最も多く,再発は稀である.今回,顔面神経麻痺の再発の原因に無疱疹性帯状疱疹(zoster sine herpete:ZSH)が考えられた症例を経験した.症例は15歳男児.水痘罹患歴はなく,幼児期に水痘ワクチンを接種したと母が記憶しているが記録はない.12歳時に左顔面神経麻痺を発症し,Bell麻痺と診断された.ペア血清を用いた評価を行ったが抗VZV抗体はIgM,IgGともに陰性,HSVとEBV抗体は既感染パターンであった.その3年6か月後,右顔面神経麻痺を再発して入院となった.耳介・外耳道に皮疹はなく,聴覚も正常であった.入院時血清でVZV DNAは検出されなかったが,抗VZV IgM抗体の陽性とIgG抗体価高値(EIA価≧128)が認められた.発症の2〜3週間前から右顔面の違和感を自覚しており,ZSHが原因であったと考えられた.プレドニゾロンとバラシクロビルの併用投与で治療し,後遺症なく治癒した.臨床的にBell麻痺と考えられても,原因としてZSHの可能性を考慮する必要がある.

Key words 顔面神経麻痺,無疱疹性帯状疱疹,水痘・帯状疱疹ウイルス,再発,抗体価
連絡先 後藤 研誠 〒483-8704 江南市高屋町大松原137 江南厚生病院こども医療センター
受付日 2025年5月17日
受理日 2025年10月2日

小児感染免疫 37 (4):310─316,2025

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