機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第37巻第2号目次 > 抄録

─原著─

エコーウイルス11髄膜炎の小児例:神戸市2施設の後方視的観察研究 2023〜2024

久保 萌加1), 濱畑 啓悟2), 森 愛3), 野本 竜平3), 磯目 賢一1), 川﨑 悠1), 岩田 あや1), 松原 康策1)

1)神戸市立西神戸医療センター小児科 2)神戸市立医療センター中央市民病院小児科 3)神戸市健康科学研究所第2衛生研究部


2022〜2023年に欧州の数か国で新規変異型(new lineage 1)エコーウイルス11(E11)が流行し,罹患した新生児の死亡例が複数報告された.しかし,近年の日本の小児期E11感染症の疫学や,E11の遺伝子情報は不明な点が多い.本研究の目的は,2023〜2024年に神戸市2施設に入院したE11による髄膜炎例の臨床的特徴を記述し,検出されたE11の塩基配列を解析することである.対象児は2023年9月に1例,2024年8〜11月に5例の計6例(男児4例)であった.発症齢は7日〜9歳で,5例は2か月未満であった.全例4日以内に解熱し,肝逸脱酵素の上昇を認めず,後遺症なく退院した.E11のVP1とVP4/2領域の系統樹解析で,2024年の5株中4株(80%)はnew lineage 1に属し,残り2株は非new lineage 1に分類され,これら2群内の遺伝子相同性はともに高かった.本研究において,研究期間中のE11髄膜炎例の臨床経過は良好であったこと,原因ウイルスの塩基配列は2群あり,2024年の神戸の流行に欧州由来のnew lineage 1株が関与したことが示された.

Key words エコーウイルス11,無菌性髄膜炎,多項目病原体遺伝子検査,新生児,new lineage 1
連絡先 松原康策 〒651-2273 神戸市西区糀台5-7-1 神戸市立西神戸医療センター小児科
受付日 2024年3月2日
受理日 2025年4月15日

小児感染免疫 37 (2):165─176,2025

PAGE TOP