─第54回日本小児感染症学会総会・学術集会:教育講演─
小児気管支喘息におけるウイルス感染症の臨床的特徴
長谷川 俊史1), 有吉 平1), 手塚 純一郎2), 坂田 恭史1), 兼安 秀信1), 岡田 裕介1)
1)山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座 2)福岡市立こども病院アレルギー・呼吸器科
小児科診療の現場では気管支喘息患者においてウイルス感染による急性増悪がみられる.これまでにライノウイルス(RV),respiratory syncytialウイルスなどの感染による喘息の発症ならびに急性増悪に関する報告は多く,日常でもしばしば経験する.さらに,近年はヒトメタニューモウイルス,2009年に流行したインフルエンザ(A(H1N1)pdm09)およびエンテロウイルスD68 (Enterovirus [EV]-D68)による喘息の重症急性増悪も報告されている.一方で2019年以降世界中を席巻してきた新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome-coronavirus-2;SARS-CoV-2)の喘息急性増悪に関する報告は多くない.当教室で行ったSARS-CoV-2流行以前の3年間の研究調査では、喘息急性増悪を来した入院患児の鼻咽頭拭い液からRVが最も多く検出され,一部の患児では反復感染を来しており,これらは既報告と類似した結果であった.近年,RVの受容体遺伝子の変異をもつ患児ではRV感染誘発急性増悪による入院を反復することが報告されているため,RVは気管支喘息と関係の深いウイルスと考えられる.また,この研究期間中に喘息急性増悪だけでなく,急性弛緩性脊髄炎との関連も報告されているEV-D68の局所的な流行も経験した.2009年のA(H1N1)pdm09の世界的流行では小児気管支喘息患者において肺炎,重症急性増悪などの重篤な呼吸器合併症が多くみられた.当教室では動物モデルを用いて小児気管支喘息患者におけるA(H1N1)pdm09感染による重症呼吸器合併症の病態解明を目指している.このモデルは,私たちが日常診療で遭遇した臨床像と極めて類似していることから治療法および予防法の確立へも応用できると考えている.本稿では,当教室でこれまで行ってきた小児気管支喘息におけるウイルス感染による重症呼吸器合併症の病態解析に関する基礎および臨床研究の成果の一端を紹介し,その特徴について概説する.
| Key words | 気管支喘息,ライノウイルス,respiratory syncytial ウイルス,pandemic influenza,気道過敏性 |
|---|---|
| 連絡先 | 長谷川俊史 〒755-8505宇部市南小串1丁目1-1 山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座 |
| 受付日 | 2023年5月26日 |
| 受理日 | 2023年5月26日 |
小児感染免疫 36 (4):373─384,2024
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