─症例報告─
痙攣重積型(二相性)急性脳症を合併した小児多系統炎症性症候群
湯田 優衣1), 佐藤 晶論1), 山田 美香1), 浅野 裕一朗1), 野寺 真樹1), 鈴木 雄一1), 細矢 光亮1)
1)福島県立医科大学小児科学講座
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)感染後に痙攣重積型(二相性)急性脳症(acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion;AESD)を合併した小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children;MIS-C)を経験した.症例は9歳の女児で,X日から頻回の嘔吐と下痢,X+2日から発熱し,意識障害と循環不全徴候および痙攣を認め当院へ搬送された.血液検査で炎症反応の上昇と多臓器障害を認め,強い消化器症状や6週間前に同胞が新型コロナウイルス感染症に罹患した家族歴からMIS-Cを疑い,免疫グロブリン療法,メチルプレドニゾロンパルス療法を行った.X+9日に痙攣が再び出現し,頭部MRIで大脳皮質と両側海馬に信号変化を認めた.SARS-CoV-2抗N抗体が陽性であり,AESDを合併したMIS-Cと診断した.MIS-Cでも急性脳症の重症例に留意する必要がある.
Key words | 新型コロナウイルス感染症,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型,小児多系統炎症性症候群,痙攣重積型(二相性)急性脳症 |
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連絡先 | 湯田優衣 〒960-1295 福島市光が丘1番地 福島県立医科大学小児科学講座 |
受付日 | 2024年3月11日 |
受理日 | 2024年7月8日 |
小児感染免疫 36 (3):257─265,2024
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