─原著─
Polymerase chain reaction(PCR法)で診断された単純ヘルペスウイルス感染症の臨床的特徴
中村 祥崇1), 芝田 明和1), 堀越 裕歩1)
1)神戸市立西神戸医療センター小児科 2)兵庫県立こども病院感染症内科 3)神戸市立医療センター中央市民病院小児科 4)神戸市健康局保健所健康科学研究所感染症部 5)新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野
本邦で小児の単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症の型別の解析状況を明らかにした報告は少ない.2010年3月~2023年4月に当院において,PCR法でHSVが検出された小児患者を調査し,各病態の型別の解析状況や各病態での基礎疾患の有病率などの臨床的特徴を後方視的に検討した.HSVは患者47人から採取したのべ51検体で検出された.診断名は,カポジ水痘様発疹症13例,眼周囲の単純性疱疹12例,ヘルペス脳炎7例,口唇ヘルペス6例,ヘルペス性歯肉口内炎4例,ヘルペスひょう疽4例,性器ヘルペス 3例,HSVウイルス血症(播種型新生児ヘルペス)2例であった.HSV-2はヘルペス脳炎の3例,眼周囲の単純性疱疹の1例,HSVウイルス血症の1例の計5検体のみで検出され,大多数はHSV-1であった.既報と同様に,アトピー性皮膚炎があるとカポジ水痘様発疹症と眼周囲の単純性疱疹を発症しやすく,免疫抑制状態にあると口唇ヘルペスを発症しやすかった.新生児ヘルペス7例中全例で,分娩時に母体の陰部に性器ヘルペスを疑う所見がなかった.予測困難な新生児ヘルペスは疾患を想起して早期に治療を開始することが重要である.
Key words | 小児,PCR法,単純ヘルペスウイルス感染症,新生児ヘルペス |
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連絡先 | 中村祥崇 〒183-8561府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター感染症科 |
受付日 | 2024年11月24日 |
受理日 | 2024年11月25日 |
小児感染免疫 36 (3):243─249,2024
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