機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

RSウイルス感染症はSARS-CoV-2抗原定量検査の判定保留を増加させるか

杉山 謙一朗1, 2), 日馬 由貴1〜3), 伊原 崇晃1, 2), 伊藤 雄介1, 4), 上村 克徳1, 2), 毎原 敏郎1)

1)兵庫県立尼崎総合医療センター小児科 2)同 小児総合診療科
3)大阪大学大学院医学系研究科感染制御学 4)兵庫県立尼崎総合医療センター小児感染症内科


RSウイルス(RSV)感染症流行時,当院でSARS-CoV-2抗原定量検査(抗原定量検査)が判定保留(微量の抗原検出)となる症例が増加した.RSV感染症がSARS-CoV-2抗原定量検査の判定保留を増加させるのではないか,という仮説のもとRSV感染症の抗原定量検査への影響を検討した.2022年1月1日〜12月31日に当院を受診した15歳以下の児で,抗原定量検査の結果が判定保留,または陰性の児を対象とした.目的変数を判定保留,陰性の2値変数とし,説明変数をRSV感染症としてロジスティック回帰分析でオッズ比を算出した.さらに,交絡因子として,月齢,「検査提出の多い月の採取」を説明変数に加え,多変量解析を行った.判定保留29例,陰性175例が対象となった.単変量解析ではRSV感染症は判定保留に影響を与える有意な因子であったが(OR 2.96,95%CI:1.10〜7.93),多変量解析では有意とならず(aOR 2.03,0.71〜5.81),「検査提出の多かった月の採取」が有意な因子となった(aOR 4.34,1.24〜15.14).また,提出検査数と判定保留の数には強い相関がみられた(R=0.85,0.54〜0.96).このことから,判定保留が増加した原因はRSV感染症ではなく,提出検査件数の増加であることが示唆された.

Key words RSウイルス感染症,SARS-CoV-2,抗原定量検査,判定保留
連絡先 日馬由貴 〒565-0871 吹田市山田丘2-2 大阪大学大学院医学系研究科感染制御学
受付日 2023年12月23日
受理日 2024年3月13日

小児感染免疫 36 (2):119─125,2024

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