─原著─
近年の感染症疫学の変化が小児科医の感染症診療経験に与えた影響
磯部 裕介1), 清水 幹裕2), 小田切 圭一2), 永田 絵子3), 宮入 烈1)
1)浜松医科大学医学部小児科学講座 2)同 付属病院臨床研究センター
3)オリーブこどもクリニック
近年の感染症疫学はコロナウイルス感染症2019(COVID-19)のパンデミックや予防接種の影響で大きく変化した.そのため小児科専門研修中に経験すべき感染症疾患を診療する経験が減っている可能性があると仮説を立てた.近年経験が困難な疾患や世代間の経験格差を明らかにする目的で小児科医の感染症疾患の経験について調査を行った.2022 年5 月に浜松医科大学同窓会員を対象として27 種類の感染症症例の経験についてアンケートを行った.小児科医102 名の回答を得た.小児科経験年数5 年以下の医師が経験した割合が90%以上であったのは10 疾患にとどまった.特にワクチンで予防可能な疾患について,小児科経験年数が5 年目以下の医師で疾患を経験したことがある割合は麻疹(0%),風疹(5%),水痘(50%)と少なく,予防接種の定期化前後で症例経験が減った影響と考えられた.市中気道感染の診療経験もインフルエンザ(68%),マイコプラズマ(55%),百日咳(32%)と少なく,COVID-19 に伴う感染対策の影響が考えられた.その一方でCOVID-19 は若手医師の経験値が高く,最前線で診療にあたっていることが想定された.若手小児科医の感染症診療に偏りがあることを認知したうえで研修を補う必要性があると考えた.
| Key words | 小児科専門研修,Vaccine Preventable Diseases,市中気道感染症,COVID-19 |
|---|---|
| 連絡先 | 磯部裕介 〒431-3192 浜松市東区半田山1-20-1 浜松医科大学小児科学講座 |
| 受付日 | 2023年6月9日 |
| 受理日 | 2023年12月2日 |
小児感染免疫 36 (1):11─18,2024
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