機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

関節炎発症前に血清IL-1βが上昇した川崎病の1 例

大橋 悠加1), 中井 英剛1), 小澤 慶2), 河村 吉紀3), 吉川 哲史2)

1)豊川市民病院小児科 2)藤田医科大学医学部小児科学 3)藤田医科大学岡崎医療センター小児科


川崎病では冠動脈だけでなく多臓器にさまざまな症状が出現し,しばしば関節炎を呈することがある.その際,臨床像が類似し疾患特異的マーカーもない若年性特発性関節炎や,また,ステロイド・免疫抑制薬を使用している症例においては化膿性関節炎・大腿骨頭壊死などとの鑑別が重要となる.川崎病の病態は,いまだ不明な点が多いが,過剰な免疫応答と炎症性サイトカインの過剰産生により全身の血管炎が惹起されると考えられており,過去に30種類以上の血清サイトカインの解析がなされてきた.しかし,関節炎を合併した川崎病患者において経時的にサイトカインを測定し検討した報告はない.
今回,川崎病の回復期に股関節炎を発症した症例において,後方視的に複数ポイントで各種サイトカインを測定したところ,関節症状が出現する前にinterleukin(IL)-1βが上昇していた.最終的に各種検査で化膿性関節炎などの他疾患は否定され,川崎病に合併した関節炎と診断されたことから,IL-1βは川崎病における関節炎の発症予測や病態評価に有用な可能性が示唆された.今後,関節炎を合併しない川崎病ならびに鑑別を要する化膿性関節炎などの他疾患について解析し,臨床応用に向けた研究を進めていきたい.

Key words 川崎病,関節炎,サイトカイン,ステロイド,若年性特発性関節炎
連絡先 大橋悠加 〒448-8505 刈谷市住吉町5 丁目15 番地 刈谷豊田総合病院小児科
受付日 2023年5月24日
受理日 2023年10月25日

小児感染免疫 35 (4):363─372,2023

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