─原著─
小児の乳様突起炎の臨床的特徴
谷口 公啓1), 宇田 和宏2), 舟越 葉那子1), 芝田 明和1), 曽根田 京子1), 幡谷 浩史3), 堀越 裕歩1)
1)東京都立小児総合医療センター感染症科
2)岡山大学病院小児科
3)東京都立小児総合医療センター総合診療科
乳様突起炎は中耳炎のまれな合併症で,硬膜外膿瘍や髄膜炎に進展することがあり,緑膿菌をスペクトルに含む広域抗菌薬の使用が米国の成書で推奨されているが,本邦での小児例の報告は少ない.小児の乳様突起炎の臨床的特徴を明らかにするために,2010 年3 月~ 2018 年12 月の間に当院で乳様突起炎と診断された症例の患者背景,臨床所見,治療内容を後方視的に検討した.疾患定義を満たした症例は13 例であった.年齢は中央値1 歳で,性別は男児が9 例(69%)であった. 診断前に中耳炎の指摘が7 例(54%)にあり,診断時に耳介後部の炎症所見が11 例(85%),耳介聳立が10 例(77%)にあった.全例で頭部CT が実施され,7 例(54%)で骨破壊,2例で硬膜外膿瘍とS 状静脈洞血栓症があった.鼓膜切開術は9 例(69%),乳様突起削開術は4 例(31%)で実施された.先行抗菌薬は11 例(85%)に投与されていた.
起因菌は5 例が肺炎球菌,1 例がA 群レンサ球菌,7 例は不明であった.抗緑膿菌作用のない抗菌薬治療と適切な外科的介入によって12 例が軽快した.本検討から,乳様突起炎の治療においてルチーンでの抗緑膿菌薬の使用は必須ではない可能性が示唆された.
| Key words | 乳様突起炎,急性中耳炎,小児,抗菌薬 |
|---|---|
| 連絡先 | 谷口公啓 〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター感染症科 |
| 受付日 | 2022年10月3日 |
| 受理日 | 2023年5月3日 |
小児感染免疫 35 (3):227─234,2023
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