機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第35巻第2号目次 > 抄録

─症例報告─

痂皮PCR 検査で早期確定診断に至った小児のツツガムシ病の1 例

白井 綾乃1), 原 良紀1), 伊波 勇輝1), 本井 宏尚1), 塩谷 裕美1), 只木 弘美1), 鉾碕 竜範1), 福山 綾子1), 鏑木 陽一1)

1)国立病院機構横浜医療センター小児科


ツツガムシ病はOrientia tsutsugamushi を起因菌とするリケッチア感染症である.診断には,保険適用のある血清診断法が古くから行われてきたが,近年,PCR 検査で確定診断に至った症例報告が散見される.今回われわれは,身体所見からリケッチア症を疑い,速やかにPCR 検査(全血・痂皮)を提出したことで早期確定診断に至った症例を経験した.
症例は6 歳女児.野外活動歴の数日後から腓腹部に虫刺され様の皮疹が出現し,14 日後から発熱を認めた.全身の皮疹,眼球結膜充血も出現し,近医小児科へ通院していたが症状の改善を認めず,第10 病日に当科に紹介された.左下肢腓腹部に黒色痂皮を伴う刺し口様の皮疹を認め,随伴症状・野外活動歴と併せてリケッチア症を疑い,入院加療の方針とした.入院後,痂皮を採取したうえでミノサイクリン塩酸塩の投与を開始し,速やかに臨床症状の改善が得られた.痂皮と全血のPCR 検査の結果は提出3日後に報告があり,痂皮でKawasaki 株陽性の結果であった.本症例の経験から,リケッチア症を疑う場合は,治療開始前速やかに,痂皮も含めたPCR 検査を提出することが推奨される.

Key words ツツガムシ病,早期確定診断,PCR 検査,痂皮,血清抗体価
連絡先 白井綾乃 〒222-0036 横浜市港北区小机町3211 横浜労災病院小児科
受付日 2023年1月6日
受理日 2023年3月9日

小児感染免疫 35 (2):143─149,2023

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