─症例報告─
生後8 か月の健常児に発症したサイトメガロウイルスによる胃十二指腸炎
原木 悠1), 草野 泰造1), 渡邉 泰二郎1), 山本 翔大1), 長澤 耕男1), 齋藤 武2), 星野 直1)
1)千葉県こども病院感染症科 2)同 小児外科
症例は,特記すべき既往のない生後8 か月の女児.3 か月前から1 日数回の嘔吐が出現した.1 か月前に血性嘔吐となり数日で改善したが,嘔吐が遷延し,入院当日に血性嘔吐が再燃したため入院した.身体所見や血液検査では特記所見はなかったが,上部消化管内視鏡で胃に多発するびらんと広範な発赤,十二指腸球部に潰瘍形成を認めた.生検では上皮内に核内封入体を伴う巨細胞を認め,サイトメガロウイルス(CMV)に特異的な免疫染色で陽性であり,CMV 胃十二指腸炎と診断した.問診と検査で,免疫不全を示唆する所見は認めなかった.入院後,嘔吐はすみやかに消失し経口摂取も再開できたため,抗ウイルス薬は投与せず経過観察とし,入院14 日目に退院した.退院19 日後に上部消化管内視鏡を再検したところ胃十二指腸炎は改善しており,1 歳10 か月時点まで外来で経過観察したが,症状の再燃を認めなかった.CMV胃十二指腸炎の診断には内視鏡検査が必須であるが,小児では内視鏡検査の侵襲性が高いため,確定診断は困難である.本症例は健常な乳児がCMV 胃十二指腸炎を発症したと考えられる貴重な一例である.
| Key words | 免疫正常児,サイトメガロウイルス,胃十二指腸炎,血性嘔吐,免疫染色 |
|---|---|
| 連絡先 | 原木 悠 〒266-0007 千葉市緑区辺田町579-1 千葉県こども病院感染症科 |
| 受付日 | 2022年12月8日 |
| 受理日 | 2023年3月9日 |
小児感染免疫 35 (2):129─135,2023
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