機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

重症COVID-19 肺炎に対し高流量鼻カニュラ酸素療法とレムデシビル投与を行った1 小児例

萬木 文佳1) , 大西 卓磨1) , 佐藤 智1) , 出口 薫太朗1) , 武井 悠1) , 上島 洋二1) , 新津 健裕2) , 菅沼 栄介1)

1)埼玉県立小児医療センター感染免疫・アレルギー科 2)同 集中治療科


本邦における小児COVID-19 患者は軽症がほとんどであり,重症例の報告は少ない.今回,高流量鼻カニュラ(HFNC)酸素療法とレムデシビル投与で治療した症例を経験した.症例は基礎疾患のない14 歳女子.2021 年5 月,発熱,咳嗽,倦怠感で発症し,発症2 日目に行ったPCR 検査でSARS-CoV-2 陽性のためCOVID-19 感染症と診断.呼吸困難が増悪し,発症4 日目に入院した.経鼻酸素とデキサメタゾン投与を行ったが,7 日目に呼吸状態が増悪し当院PICU に転院した.HFNC 酸素療法に変更し,デキサメタゾンに加えてレムデシビルの投与を行った.その後,呼吸状態の改善を認め,翌日HFNC を離脱し10 日目に酸素療法を終了した.低流量酸素療法で酸素化が保たれない患者において,HFNC 酸素療法は気管挿管の回避が期待される.本症例はデキサメタゾン投与に加えHFNC 酸素療法とレムデシビル投与で重篤な有害事象はなく,呼吸状態の悪化を抑えることができた.わが国では小児重症COVID-19 肺炎患者が少ないため,今後の治療経験の蓄積と共有が必要である.

Key words COVID-19 肺炎,高流量鼻カニュラ酸素療法,レムデシビル
連絡先 佐藤 智 〒330-0843 さいたま市中央区1 番地2 埼玉県立小児医療センター感染免疫・アレルギー科
受付日 2022年6月13日
受理日 2023年2月22日

小児感染免疫 35 (1):17─23,2023

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