機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児市中尿路感染症に対するセファゾリンとセフォタキシムの有効性の比較

福井 貞弘1,2) , 日馬 由貴1,2) , 上村 克徳1,2) , 毎原 敏郎2)

1)兵庫県立尼崎総合医療センター小児総合診療科 2)同 小児科


小児尿路感染症(UTIs)に対する経験的抗菌薬治療としてセフォタキシム(CTX)はよく使用される.しかし,大腸菌に対するセファゾリン(CEZ)の感受性がよい地域ではCEZ が使用できる可能性がある.そこで,大腸菌に対するCEZ の感受性がよい当院において,CEZ とCTX の有効性を比較した.2018 年1 月~ 2021 年7 月に当院でUTIs と診断され,入院治療を行った生後2 か月~36 か月の症例を対象とし,経験的治療としてCEZ を使用した群,CTX を使用した群に分類した.主要評価項目は入院から解熱までの時間とした.CEZ 群25 例,CTX 群23 例を対象とした.背景因子で2 群間に有意差はなかった.解熱までの時間の中央値(四分位範囲)はCEZ 群で17(10~42)時間,CTX 群で26(8.5 ~43)時間であり,有意差はなかった(p=0.716).大腸菌への感受性がよい地域における小児のUTIs の経験的治療として,CEZ はCTX と遜色ない効果があった.

Key words 小児,尿路感染症,セファゾリン,セフォタキシム,抗菌薬適正使用
連絡先 日馬由貴 〒660-8550 尼崎市東難波町二丁目17 番77 号 兵庫県立尼崎総合医療センター小児総合診療科
受付日 2022年11月17日
受理日 2023年2月8日

小児感染免疫 35 (1):3─10,2023

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