─症例報告─
皮膚生検で診断に至った壊疽性丘疹状結核疹の1 例
明田 隼機1) , 吉川 利英1) , 前田 夢吉1) , 山田 健太1) , 大嶋 勇成1)
1)福井大学医学部附属病院小児科
結核菌群成分に対する過敏性反応とされる壊疽性丘疹状結核疹は,病変部に菌体が証明される真性皮膚結核と区別される.症例は7 か月男児で,生後5 か月時にはBacillus Calmette-Guerin( BCG)ワクチンを接種した.コッホ現象は認めなかったが,接種39 日後から顔面とワクチン接種痕周囲に紅色丘疹を認め,徐々に四肢にも分布した.発症3 週間後に発熱と哺乳量低下を認め,精査目的に入院となった.免疫学的検査には異常を認めなかったが,抗菌薬使用下に新規皮膚病変が出現したため,皮膚生検を実施した.結核菌群核酸同定検査は陰性で,組織中に抗酸菌は証明されなかったことから壊疽性丘疹状結核疹と診断した.自然経過で解熱と哺乳量の回復が得られ,4か月後には新規の皮疹を認めなくなった.BCG 菌による真性皮膚結核の場合,免疫不全症が背景に存在する可能性もあり,BCG ワクチン接種後の皮膚病変で特に発熱などの全身症状を伴う時は,結核疹と鑑別するため時宜を得た皮膚生検が必要である.
Key words | 壊疽性丘疹状結核疹,乳児,BCG,副反応,皮膚病変 |
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連絡先 | 明田隼機 〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3 福井大学医学部附属病院小児科 |
受付日 | 2022年5月25日 |
受理日 | 2022年11月11日 |
小児感染免疫 34 (4):285─291,2022
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