─症例報告─
COVID-19関連多系統炎症性症候群( MIS-C) の 1例
浅井 雅美1),水野 美穂子1),安井 竜志1),小早川 雄介1),角田 優子1),早川 梢1)
1)社会医療法人宏潤会大同病院大同こども総合医療センター
小児新型コロナウイルス感染症症例は多くの場合,軽症であるが,ときに多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children;MIS-C)を続発することが報告されている. 今回,severe acute respiratory syndrome coronavirus 2( SARS-CoV-2) 感染後に無症状で経過し,その後MIS-C を発症した症例を経験したので報告する.症例は8 歳男児.発熱,嘔吐で発症し,近医でSARS-CoV-2 のPCR 検査が陽性となった.発熱,嘔吐,下痢が持続したため第4 病日に紹介受診となった.入院時血液検査でケトン体が高く,脱水などを想定して入院となった.臨床症状,検査結果および入院約3 週前に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を発症した祖母と接触歴を有していたことから,MIS-C と診断した.静注用人免疫グロブリン(intravenous immunoglobulin; IVIG),メチルプレドニゾロン (methylprednisolone;mPSL),アスピリン(acetylsalicylic acid;ASA)で治療開始し速やかに解熱したが,再発熱を認めたため2 回目のIVIG を使用した.その後は解熱が維持されたためmPSL を減量したところ再度発熱を認め,mPSL を増量して解熱が得られた.その後,mPSL を漸減したが再発熱なく入院19 日目に退院した.退院後約1 週間でステロイド薬を中止し,ASA は2 か月間内服を継続した.小児においてSARS-CoV-2 感染後2~6 週後に多臓器障害を認めた場合は,MIS-C を鑑別にあげる必要がある.
Key words | COVID-19,多系統炎症性症候群,MIS-C,川崎病,IVIG |
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連絡先 | 浅井雅美 〒457-8511 名古屋市南区白水町9 番地 社会医療法人宏潤会大同病院大同こども総合 医療センター |
受付日 | 2022年1月21日 |
受理日 | 2022年7月15日 |
小児感染免疫 34 (3):205─211,2022
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