機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

発症時に皮疹を認めずCRP 高値のため非典型的と考えられた新生児TSS 様発疹症の1 例

大久保 喜正1),坂 良逸1),平 清吾1),小川 哲1),芦田 明2)

1)済生会吹田病院小児科
2)大阪医科薬科大学病院小児科


新生児TSS 様発疹症(neonatal TSS-like erythematous disease;NTED)は,主に黄色ブドウ球菌が産生する菌体外毒素であるtoxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)がスーパー抗原として機能して発症し,発疹,発熱,血小板減少を主症状とする新生児感染症である.今回われわれはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(methicillin-sensitive Staphylococcus aureus;MSSA)による,発症時に発疹がなくCRP 高値を認め非典型的と考えられたNTED の1 例を経験したので報告する.症例は在胎期間40 週5 日,出生体重2,614 g の女児.日齢3 に38.6℃の発熱を認め当科搬送となった.血液検査はCRP 高値,血小板減少を認め,菌血症が考えられた.日齢4に全身性発疹が出現し血液培養は菌の検出なく,臍部の皮膚培養でTSST-1 陽性のMSSA が検出され,TCRVβ2(+),CD45RO(+)のT 細胞上昇からNTED と診断した.発症時に皮疹を認めずCRP が高値であり菌血症と考えられる症例でもNTEDを念頭に置く必要がある.

Key words 新生児TSS 様発疹症,皮疹,CRP 高値
連絡先 大久保喜正 〒564-0013 吹田市川園町1-2 済生会吹田病院小児科
受付日 2021年10月19日
受理日 2022年5月9日

小児感染免疫 34 (2):130─136,2022

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