機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

小児日本紅斑熱の2 症例

松谷 恵里1),瀬戸 真澄1),宮下 光洋2),吉田 敏子1),森本 恭子1)

1)大阪府済生会千里病院小児科
2)大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学


日本紅斑熱は病原体Rickettsia japonica を保有するマダニが媒介するリケッチア感染症である.山地や農作業中にマダニと接触する機会が多いため,好発年齢は主に60 歳以上の高齢者とされているが,小児例も散見される.われわれは7 歳男児の疑似症例(症例1),8 歳女児の確定診断症例(症例2)を経験した.2 症例とも日本紅斑熱の3 徴である発熱・発疹・刺し口を認めていたが,マダニに刺された自覚がなく,刺し口として認識されず経過観察となっていた.症例1 は三重県,症例2 は和歌山県への移動歴が確認された.いずれも日本紅斑熱の流行地であり臨床経過から当疾患が疑われ,テトラサイクリン系抗菌薬が奏功し良好な経過をたどった.近年,日本紅斑熱の発生数は増加の一途を辿っている.COVID-19 流行下において,野外でのレジャー活動が増えることで今後小児例も増加する可能性が示唆される.日本紅斑熱は一般的に予後良好であるが,治療の遅れにより重症化することもあり,早期に疑い適切な抗菌薬を投与することが極めて重要である.本症例を通し日本紅斑熱の臨床的特徴や診断法について報告する.

Key words 日本紅斑熱,Rickettsia japonica,マダニ,黒色痂皮,テトラサイクリン
連絡先 松谷恵里 〒565-0862 吹田市津雲台1 丁目1-6 大阪府済生会千里病院小児科
受付日 2022年2月1日
受理日 2022年4月27日

小児感染免疫 34 (2):123─130,2022

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