─症例報告─
筋肉内膿瘍を契機に明らかになった市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による家族内感染
島崎 聡一1), 大戸 佑二1), 田中 慎一朗1), 笠井 悠里葉2), 小松 充孝2), 松原 知代1)
1)獨協医科大学埼玉医療センター小児科
2)順天堂大学医学部順天堂医院小児科・思春期科
市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(community-acquired methicillinresistant Staphylococcus aureus:CA-MRSA)は健康な小児や若年運動選手などで主に皮膚接触によって感染する.特にPanton-Valentine leukocidin(PVL)産生型MRSAは病原性が高い.接触感染で広がり家族内や院内感染を起こす.今回,PVL 産生市中感染型MRSA による2 か所の筋肉内膿瘍を発症し,患児から家族全員のMRSA 感染が判明して治療した症例を経験したので報告する.15 歳の健常男子が腰部痛,右側腹部痛および発熱を主訴に入院.WBC やCRP 高値を認め,造影CT 検査で右内腹斜筋,右脊柱起立筋内に膿瘍を認めた.アンピシリン・スルバクタム点滴静注で改善せず,入院4 日目に右内腹斜筋と右脊柱起立筋内膿瘍の切開排膿およびドレーン留置術を実施し改善した.膿瘍内貯留液培養からMRSA が検出され,MRSA はPVL 遺伝子陽性株だった.入院7 か月前から父に皮下膿瘍が反復.入院4 か月前に弟(次男)に結膜 炎や麦粒腫が頻回にみられていた.患児退院後に弟(三男)と母にも皮下膿瘍がみられ,家族全員の鼻腔培養や膿瘍培養からMRSA が検出され,PCR based open reading frame typing(POT)法により,POT 値106-77-113 の同一菌体であることが判明した.抗菌薬による家族全員の治療と手指消毒などの生活指導を行った結果,その後の感染はみられていない.
| Key words | 市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌,Panton-Valentine leucocidin( PVL),家族内感染,筋肉内膿瘍 |
|---|---|
| 連絡先 | 大戸佑二 〒343-8555 越谷市南越谷2-1-50 獨協医科大学埼玉医療センター小児科 |
| 受付日 | 2021年3月24日 |
| 受理日 | 2021年7月20日 |
小児感染免疫 33 (4):351─358,2021
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