機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

ESBL産生菌の増加を想定した小児上部尿路感染症における治療方針の検討

坂田 瑶子1), 大石 智洋1), 宮田 一平1), 北野 太一1), 光井 康次郎1), 井上 智貴1), 髙橋 研斗1), 若林 尚子1), 河野 美奈1), 加藤 敦1), 赤池 洋人1), 田中 孝明2), 大野 直幹1), 中野 貴司2), 尾内 一信1)

1)川崎医科大学小児科学講座 
2)同 総合医療センター小児科


近年,小児尿路感染症でも増加が懸念される基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌を想定した治療方針について,2009 年10 月~ 2019 年12 月に当院に入院した15 歳以下の小児(のべ211 例)を対象に検討した.最多頻度の大腸菌(60.0%)のうち9.0% がESBL 産生菌で(全体の12.4%),2016 ~ 2019 年では全体の17.4%と増加していた(p=0.0078).ESBL 産生大腸菌分離例(23 例)とESBL 非産生大腸菌分離例(127 例),その他の菌分離例(61 例)では,月齢,性差,尿路感染症の既往,入院前の抗菌薬使用や尿路感染症予防内服の有無には有意差がなかった.ESBL 産生大腸菌の抗菌薬感性率は,PIPC/TAZ,CMZ,MEMP,FRPM,FOM は100%だった一方,経口薬はAMPC/CVA(50%),ST(50%),LVFX(38.9%)であった.実際にはESBL に耐性を示す抗菌薬でも92.3%の症例で72 時間以内に解熱していた.以上より,小児尿路感染症では,ESBL 産生大腸菌が増加している今日でも,分離 症例の鑑別が困難で,感性のない抗菌薬でも解熱効果は良好なことから,初期治療は現在のJAID/JSC ガイドラインに記載されている通りの抗菌薬で良いと考えられた.

Key words ESBL,小児,尿路感染症
連絡先 大石智洋 〒701-0192 倉敷市松島577 川崎医科大学小児科学講座
受付日 2021年1月25日
受理日 2021年9月2日

小児感染免疫 33 (4):333─343,2021

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