─症例報告─
B 群レンサ球菌による骨関節感染症を発症した9 歳男児
落合 健太1), 高野 健一1)
1)北九州市立八幡病院小児救急・小児総合医療センター
生来健康な9歳男児.入院前日から発熱と右股関節痛,臀部痛を認めた.入院当日,体動困難となり救急搬送された.体温39.4℃,右股関節と臀部の圧痛,右股関節の運動制限を認めた.外傷歴は認めなかった.血液検査ではWBC 20,100/μL( Neut91.8 %),CRP 4.00 mg/dL であった.股関節エコーや両股関節MRI 検査では異常所見を認めなかったが,臨床症状,身体所見から骨軟部組織感染症が否定できなかったため,入院管理としセファゾリン投与を開始した.入院2 日目,入院時の血液培養からStreptococcus agalactiae (GBS)が検出され,抗菌薬をアンピシリンに変更した.入院5 日目,両股関節MRI 検査で右坐骨および恥骨に高信号域と右股関節液の増加を認めた.以上からGBS による菌血症および骨髄炎と診断した.急性発症の発熱,関節痛を認める症例では,病初期の画像検索で異常が確認できなくとも化膿性骨髄炎を含めた重症骨関節感染症に留意すべきである.基礎疾患のない学童の侵襲性GBS 感染症は極めてまれであるが,遭遇し得る重症細菌感染症の一つとしての認識が重要である.
Key words | 侵襲性B 群レンサ球菌感染症,骨関節感染症,小児 |
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連絡先 | "落合健太 〒805-8534 北九州市八幡東区尾倉2-6-2 北九州市立八幡病院小児救急・小児総合医療 センター" |
受付日 | 2020年12月22日 |
受理日 | 2021年6月15日 |
小児感染免疫 33 (3):256─262,2021
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