機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

B 群レンサ球菌による乳児化膿性耳下腺炎

吉見 鞠亜1), 灘 大志1), 中山 彰1), 清水 博之2), 岩本 眞理1)

1)済生会横浜市東部病院小児科 2)藤沢市民病院臨床検査科


B 群レンサ球菌(group B streptococcus;GBS)を起因菌とする化膿性耳下腺炎はまれな疾患であり,既存の報告は少ない.われわれは,遅発性のGBS 感染により化膿性耳下腺炎を発症した乳児早期の症例を経験したため報告する.症例は日齢34 の女児,出生時の体重は1,834 g で当院のNICU に入院した.NICU を退院後14 日目に右頸部の発赤と腫脹が出現し,当院へ救急搬送された.救急車内で発熱に気づかれ,受診時は代償性ショックの状態であり,初期治療介入後に当科に入院した.血液検査ではCRP,プロカルシトニンの上昇を認めたが,血清アミラーゼは基準範囲内であった.造影CT で右耳下腺の腫脹と造影効果の増強を認め,血液培養でGBS が検出されたことからGBS 菌血症に伴う化膿性耳下腺炎と診断し3 週間の抗菌薬治療を施行した.GBS による化膿性耳下腺炎の既報では全例で菌血症を呈し,また新生児~ 乳児早期の化膿性耳下腺炎では血清アミラーゼの上昇は認められないことも多いとされ,本症例も同様の結果であった.新生児期の頸部腫脹は血清アミラーゼ上昇がない症例でも化膿性耳下腺炎を鑑別にあげる必要がある.

Key words 化膿性耳下腺炎,B 群レンサ球菌,乳児,遅発型,菌血症
連絡先 吉見鞠亜 〒230-8765 横浜市鶴見区下末吉3-6-1 済生会横浜市東部病院小児科
受付日 2020年12月22日
受理日 2021年6月6日

小児感染免疫 33 (3):250─256,2021

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