機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

冠動脈病変を伴い川崎病との鑑別に苦慮した全身型若年性特発性関節炎と推測された1 幼児例

見浪 実紀1,2), 今井 雄一郎1), 小林 穂高1), 須藤 博明1), 横山 忠史3), 和田 泰三3), 金子 一成2)

1)名張市立病院小児科 2)関西医科大学小児科学講座 3)金沢大学小児科


川崎病と全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis;sJIA)は,どちらも原因不明の炎症性疾患で,臨床症状も類似しているため,ときに鑑別に苦慮する.今回,当初,川崎病と診断したものの,経過からsJIA と推測される症例を経験したので報告する.症例は19 か月齢の男児.発熱から第6 病日に当院を受診.呼吸器症状を伴い炎症反応の著明な上昇を認めたことから,急性細菌性肺炎を疑ったが,胸部エックス線写真で肺野に浸潤影を認めず,急性細菌性気管支炎として抗菌薬を投与した.しかし,解熱せず,冠動脈の拡張が出現したため,不全型川崎病としてヒト免疫グロブリン大量療法を行った.その後も弛張熱は持続し,発熱時に出現する皮疹を認めた.また,マクロファージ活性化症候群を合併したため,病因精査目的にサイトカインの網羅的測定を行った.その結果,血清IL-18 の異常高値を認め,sJIA を疑ってステロイドパルス療法を行った.しかし,治療反応性に乏しく,高次医療機関に転院し,トシリズマブの投与によって寛解に至った.以上より難治性川崎病においては,冠動脈病変を認めてもsJIA の可能性を念頭におくべきであると思われた.鑑別においては血清IL-18 の測定が診断の一助になるため,保険診療の適応が望まれる.

Key words 全身型若年性特発性関節炎,マクロファージ活性化症候群,冠動脈病変,川崎病,サイトカインプロファイル
連絡先 金子一成 〒573-1010 枚方市新町2-5-1 関西医科大学小児科
受付日 2021年1月25日
受理日 2021年4月16日

小児感染免疫 33 (3):224─232,2021

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