─症例報告─
髄液細胞増多を伴ったBCG接種後壊疽性丘疹状結核疹の1例
井上 怜1,2), 白數 明彦2), 芦田 明1)
1)大阪医科大学付属病院小児科 2)市立ひらかた病院小児科
BCG接種後副反応に結核疹があり,ワクチン成分に対する過敏性反応と考えられている.われわれは,BCG接種後に髄液細胞増多を伴う壊疽性丘疹状結核疹の1例を経験した.症例は8か月女児.BCG接種後46日目に発疹を認め,接種後51日目から発熱が持続し,炎症反応が高値のため当科へ入院となった.入院時,BCG接種部位に著明な発赤と全身に膿疱を伴う紅色丘疹を認めた.熱源検索として行った髄液検査で細胞数増多を認め,セフォタキシム,メロペネム,アシクロビルの投与を行った.入院翌日に解熱し,検査所見や治療経過から細菌性髄膜炎や川崎病の可能性は低いと考えられた.結核疹を疑い,炎症反応が高く発熱が遷延した経過から,皮膚生検を施行したところ,結核菌群の検出はなく,中心に膿疱を伴う紅色丘疹が色素沈着を残しながら消退した経過も併せて壊疽性丘疹状結核疹と診断した.結核疹の病態は,BCGワクチンによるⅣ型アレルギーが考えられており,本例の髄液細胞増多は,Ⅳ型アレルギーによる過敏性反応によって炎症性メディエーターが過剰に産生された結果生じたものではないかと推察した.
Key words | 結核疹, 壊疽性丘疹状結核疹, BCG, 髄膜炎, Ⅳ型アレルギー |
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連絡先 | 白數明彦 〒573-1013 枚方市禁野本町2-14-1 市立ひらかた病院小児科 |
受付日 | 2020年6月24日 |
受理日 | 2021年3月25日 |
小児感染免疫 33 (2):143─148,2021
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