機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第33巻第2号目次 > 抄録

─症例報告─

家族内感染でCOVID-19を発症した2か月児の一例

伊波 勇輝1), 矢内 貴憲1), 鏑木 陽一1)

1)国立病院機構横浜医療センター小児科


新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)は,2019年12月に中国湖北省武漢市で集団発生し,世界的な感染症に発展した.現在も各国で多くの感染者がみられ,重症者や死亡者も増加している.わが国でも渡航歴のない患者や接触歴のない患者の感染が増加しており,国内での蔓延が危惧されている.臨床症状として,乾性咳嗽や発熱を訴える例が多いが,無症状から多臓器不全まで幅広い.小児で重症化することはまれとされているが,低血圧,ショック,急性心不全を含む重篤な症状を呈す小児例も存在する.
成人と比較して小児COVID-19に関する研究は比較的少なく,日本での乳児例の報告は限られている.
症例は発熱を主訴に来院した生後2か月の男児である.全身状態は良好だったが,低月齢児であること,初診時問診で父が10日前に発熱,味覚障害・嗅覚障害を認めていたことが判明し,COVID-19が疑われたため入院とした.入院後,児と父から咽頭ぬぐい液を採取し,SARS-CoV-2 PCRを施行した結果,陽性だった.児は11日間入院し,軽度の気道症状を認めるのみで経過した.発症後17日目に咽頭PCRを再検し,陰性を確認した.発症してから6か月間の経過観察を予定している.

Key words coronavirus disease 2019(COVID-19), severe acute respiratory syndrome coronavirus-2(SARS-CoV-2), 乳児
連絡先 伊波勇輝 〒245-8575 横浜市戸塚区原宿三丁目60番2号 国立病院機構横浜医療センター小児科
受付日 2020年12月22日
受理日 2021年3月15日

小児感染免疫 33 (2):121─126,2021

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