─症例報告─
可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症を呈したEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症の1例
宮下 光洋1), 外川 正生1), 北口 彩1), 天羽 清子1)
1)大阪市立総合医療センター小児救急科
症例は生来健康な3歳2か月男児.発熱,肝脾腫を認め,汎血球減少,血清フェリチン高値,可溶性IL-2レセプター高値であり,血漿中EBV-DNA量の増加からEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)と診断した.経過中に頻回の嘔吐に伴って低ナトリウム血症を呈し,意識障害がみられた.頭部MRI拡散強調画像で脳梁膨大部に高信号を認めたものの,後日再検し消失した.治療反応性は良好で後遺症なく治癒した.EBV-HLHは炎症性サイトカインの過剰産生により発症する重篤な疾患で,中枢神経病変を伴うEBV-HLHは一般的に予後不良である.しかし,可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(MERS)を呈する例については,特異的治療なしで神経学的予後は良好であると思われた.EBV-HLHのような高サイトカイン血症を背景としたMERSの発症機序としてADH分泌亢進,血清ナトリウム低下が関与している可能性がある.
Key words | 可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症, Epstein-Barrウイルス, 血球貪食性リンパ組織球症, 高サイトカイン血症, 低ナトリウム血症 |
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連絡先 | 宮下光洋 〒534-0021 大阪市都島区都島本通2-13-22 大阪市立総合医療センター小児救急科 |
受付日 | 2020年8月3日 |
受理日 | 2021年1月25日 |
小児感染免疫 33 (2):93─100,2021
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