─症例報告─
胸水貯留を伴ったデング熱の小児例
加藤 愛美1), 二町 尚樹1), 林邉 廉1), 髙崎 智彦2), 清水 博之3)
1)藤沢市民病院こども診療センター 2)神奈川県衛生研究所 3)藤沢市民病院臨床検査科
スリランカから帰国後にデング熱を発症し,解熱期に胸水貯留を伴った日本在住のスリランカ人8歳女児例を経験した.発熱,嘔吐を主訴に当院を受診し,血液検査では白血球数,血小板数が減少し,肝酵素が上昇していた.ヘマトクリット値の上昇はなかったが,血清BUNおよびCreが上昇していた.解熱時に超音波検査で両側胸水貯留を認めたため,同日及びその翌日にフロセミドを投与し,入院8日目に軽快退院した.入院前日の血清からデングウイルス2型が検出された.
デング熱は,解熱の前後に全身性血管漏出症候群を呈することがあり,超音波検査がモニタリングに有用であった.今後,国内においても小児のデング熱患者数が増加し得るため,全ての小児科医がデング熱の臨床症状,重症化リスクを理解しておく必要がある.
Key words | デング熱, デングウイルス, 輸入感染症, 胸水 |
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連絡先 | 加藤愛美 〒245-8575 横浜市戸塚区原宿3-60-2 独立行政法人国立病院機構横浜医療センター |
受付日 | 2020年8月3日 |
受理日 | 2021年1月12日 |
小児感染免疫 33 (1):51─57,2021
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