─症例報告─
新生児TSS様発疹症症状を呈した新生児仙骨部皮下膿瘍の一例
小針 靖子1), 清水 彰彦2)
1)伊勢崎市民病院小児科 2)群馬県立小児医療センターアレルギー感染免疫・呼吸器科
新生児TSS様発疹症(NTED)は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌が産生するスーパー抗原性毒素による新生児感染症である.正期産児におけるNTEDは自然治癒傾向があり,保存的に加療されることが多い.今回,NTED症状を呈した仙骨部皮下膿瘍の新生児の一例を経験したので報告する.症例は日齢8の女児.頸部から体幹に皮疹が出現し,発熱を認め入院した.血小板減少を認め,母体膣培養からMRSAが検出されていたことからNTEDを疑った.仙骨部に発赤腫脹を認め,超音波検査で皮下液体貯留を認め,蜂窩織炎・皮下膿瘍を合併していると考えた.皮下膿瘍の穿刺液からMRSAが検出された.入院4日目に症状改善せず,集中治療目的に転院した.切開排膿と壊死組織のデブリードマンを行い,入院39日目に退院した.分離菌株からtsst-1遺伝子が検出された.NTEDは,toxic shock syndrome toxin 1(TSST-1)を産生する侵襲性MRSA感染症の一症状となり得る.臨床的にNTEDと診断しても,感染巣の検索を行い,侵襲性MRSA感染症を併発している場合は早期に治療を開始することが重要である.
Key words | 新生児TSS様発疹症, MRSA, 皮下膿瘍, 血小板減少 |
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連絡先 | 小針靖子 〒372-0817 伊勢崎市連取本町12番地1 伊勢崎市民病院小児科 |
受付日 | 2020年6月11日 |
受理日 | 2020年12月22日 |
小児感染免疫 33 (1):41─46,2021
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