─症例報告─
BCG接種痕の発赤を認めたが川崎病の診断基準をみたさずウイルスを同定できた3症例
藤井 隆大1), 澤田 智2), 坂東 賢二2), 村上 城子2)
1)大阪市立大学医学部附属病院小児科 2)和泉市立総合医療センター小児科
Bacille Calmette-Guérin(BCG)接種痕の発赤は特に年少児において川崎病に対し高い特異度を示し,日本川崎病学会による「川崎病診断の手引き改訂第6版」からは主要症状の発疹として扱われることになった.今回,BCG接種痕の発赤を認めたものの,川崎病の特異的な治療を行うことなく解熱し,便からウイルスが同定できた3症例を経験した.3例の年齢は0歳10か月〜1歳6か月で,BCG接種痕の発赤が第2〜7病日に出現し,川崎病の主要症状は3〜4症状であった.症状,血液検査所見はいずれも軽症であり,全例で静脈用免疫グロブリン(IVIG)投与を要することなく解熱した.発症後1か月の期間に冠状動脈病変(coronary artery lesion;CAL)は認めなかった.便検体からそれぞれパレコウイルス1型(Human parechovirus-1;HPeV-1),パレコウイルス4型(HPeV-4),アデノウイルス1型(Adenovirus-1;AdV-1)が同定された.BCG接種痕の発赤は川崎病の診断において重要な所見であるが,ある種のウイルス感染においても惹起されることが示唆された.
Key words | Bacillus Calmette-Guérin (BCG), 川崎病, パレコウイルス, アデノウイルス |
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連絡先 | 藤井隆大 〒545-8586 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部附属病院小児科 |
受付日 | 2020年4月20日 |
受理日 | 2020年11月9日 |
小児感染免疫 32 (4):380─385,2020
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