─症例報告─
水痘ワクチン接種5年後に運動麻痺を伴う水痘ワクチン株による帯状疱疹を発症した8歳健常児例
竹尾 俊希1), 鈴木 道雄1), 森田 誠1), 河村 吉紀2), 吉川 哲史2), 長谷川 真司1)
1)名古屋記念病院小児科 2)藤田医科大学小児科学
水痘ワクチン接種後に水痘ワクチン株による帯状疱疹を発症することはあるが,本邦での発症報告は少ない.また,帯状疱疹発症時に運動麻痺を伴う例が稀にある.運動麻痺を伴った水痘ワクチン株による帯状疱疹例を提示する.症例は生来健康な8歳男児.3歳時に右上腕に1回水痘ワクチン接種歴がある.第1病日から右上肢の脱力感があり,第2病日から右上肢に疼痛を伴う水疱が出現,第4病日に当科紹介された.右上肢C5-6領域に水疱を認め,同領域の筋力はMMT4に低下していた.帯状疱疹と診断し,アシクロビル投与を行った.第5病日に右上肢の筋力は改善し,第10病日にすべての水疱が痂皮化し後遺症なく改善した.ペア血清での水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価(EIA)はIgG 32.2/128,IgM 0.06/0.87であった.水疱内容液のVZV LAMP法が陽性で,増殖産物のRFLP解析でワクチン株と判明した.本邦では水痘ワクチンが定期接種となり,今後は帯状疱疹発症者のうちワクチン接種者の割合が増加する可能性がある.水痘ワクチン接種歴のある者が帯状疱疹を発症した場合,VZVの由来がワクチン株か野生株かを鑑別する必要がある.
Key words | 水痘・帯状疱疹ウイルス, 帯状疱疹, 水痘ワクチン, 運動麻痺, RFLP解析 |
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連絡先 | 鈴木道雄 〒468-8520 名古屋市天白区平針4丁目305 名古屋記念病院小児科 |
受付日 | 2020年5月21日 |
受理日 | 2020年8月12日 |
小児感染免疫 32 (4):375─379,2020
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