─症例報告─
emm1のA群溶血性レンサ球菌を分離し得た急性リウマチ熱の1例
土井 響1), 今井 智恵1), 新居 敏1), 住本 真一1)
1)大阪赤十字病院小児科
症例は特に既往のない6歳男児.移動性の関節痛と発熱を主訴に当科を受診され,咽頭からのA群溶血性レンサ球菌感染が証明され,血液検査では炎症反応高値を認め,心電図でのPR延長が疑われた.急性リウマチ熱と診断し,ナプロキセンを開始したところ速やかに関節痛と発熱は改善した.経過中に僧房弁逆流を認め,心炎に対してプレドニゾロンも併用した.経時的にPR間隔は正常化し,僧房弁逆流も改善した.その後,ナプロキセンおよびプレドニゾロンを終了した際に症状の再燃を認めたが,一時的なナプロキセンの再開で速やかに改善した.除菌はアンピシリンで行い,現在は再発予防のためベンジルペニシリンベンザチンを内服中である.本症例では咽頭からemm1のA群溶血性レンサ球菌が同定されたが,これはマクロライド耐性が多い菌株とされる.A群溶血性レンサ球菌感染症に対してペニシリン系抗菌薬による十分な除菌が推奨されるとともに,国内では急性リウマチ熱の原因菌株に関する報告が少ないため,今後データの集積が必要と考えられた.
Key words | 急性リウマチ熱, 溶連菌, emm1 |
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連絡先 | 土井 響 〒543-8555 大阪市天王寺区筆ヶ崎町5-30 大阪赤十字病院小児科 |
受付日 | 2020年4月24日 |
受理日 | 2020年8月1日 |
小児感染免疫 32 (4):369─374,2020
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