─原著─
2016年から2019年における兵庫県内9医療機関でのRSウイルス感染症による入院動向について
宇都宮 剛1,2), 大竹 正悟3), 鞍谷 沙織4), 笠井 正志3)
1)兵庫医科大学小児科学 2)新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学教室 3)兵庫県立こども病院感染症内科 4)同 救急総合診療科
背景:外来におけるRSウイルス(以下RSV)感染症はここ数年の間に流行する時期が早くなっているが,RSV感染症による入院の動向についての報告はない.RSV感染症による入院患者の動向を把握し,現在のパリビズマブの投与期間について検討する.
方法:兵庫県内9医療機関を対象に2016〜2019年にRSV感染症による入院があった日付を後方視的に収集した.RSV感染症による入院があった日を1とカウントし,週ごとにその数値の合計を用いてエピカーブを作成した.また各シーズンの入院患者数のみられる時期の開始,ピーク,終了の時期をKruskal-Wallis検定を用いて比較した.有意差がみられる場合には2シーズン間の差についてそれぞれWilcoxon順位和検定を用いて解析した.
結果:エピカーブは3つのパターンに分類された.RSV感染症による入院の時期については開始とピークの時期はいずれも2018/2019シーズンでは2016/2017シーズンおよび2017/2018シーズンよりも有意に早くなった(p<0.05)が,終了の時期はかわらなかった.つまり入院患者を認める時期は長くなっている.
結論:RSV感染症による入院患者がみられる期間は長くなっており,パリビズマブの投与期間を再考する必要がある.
Key words | RSウイルス感染症, 兵庫県, 入院動向 |
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連絡先 | 宇都宮剛 〒663-8501 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学小児科 |
受付日 | 2020年1月23日 |
受理日 | 2020年11月18日 |
小児感染免疫 32 (4):353─361,2020
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