機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

機関誌「小児感染免疫」オンラインジャーナル > 第32巻第4号目次 > 抄録

─原著─

富良野地域における2015/16から2018/19まで4シーズンのインフルエンザワクチンの有効性の比較

若林 伊織1), 角谷 不二雄1), 印鑰 史衛2), 大久保 仁史1), 藤保 洋明1), 久良木ルーテ 彩来3)

1)富良野協会病院小児科 2)いんやく小児科クリニック 3)インディアナ大学内科


2015/16から2018/19シーズンまでの4シーズンで生後6か月から18歳までの小児を対象にインフルエンザワクチンの有効性について検討した.対象は,富良野地域でインフルエンザ様疾患のため受診し,インフルエンザ迅速検査が実施された小児である.本研究では,迅速抗原検査の結果に基づいて診断陰性例コントロール研究(test-negative case-control study)を行った.4シーズンを通して8,816例を解析対象とした.そのうち3,904例がインフルエンザ陽性であり,2,340例がA型,1,564例がB型であった.ワクチン効果(年齢,性別,基礎疾患の有無,施設,発症月で補正)は,インフルエンザ全体で41〜47%,インフルエンザA型で37〜54%,インフルエンザB型で31〜39%であった.年齢層別のワクチン効果は,生後6〜23か月,2〜5歳,6〜12歳で有意な効果が認められたものの,13〜18歳では有効性を認めなかった.シーズン毎の比較検討では, A型のワクチン効果は流行する亜型に影響される可能性が示唆された.B型のワクチン効果は,2015/16,2016/17,2017/18シーズンで亜型の流行によらず同程度であった.関東地域との比較では,年代別と型別でワクチンの有効性の差が認められ,地域毎の評価がワクチン効果を検討する上で重要である可能性が示唆された.

Key words インフルエンザワクチン, インフルエンザ, 感染予防, 小児, 予防接種
連絡先 若林伊織 〒076-8765 富良野市住吉町1-30 富良野協会病院小児科
受付日 2020年3月10日
受理日 2020年10月7日

小児感染免疫 32 (4):333─344,2020

PAGE TOP