機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

Klebsiella pneumoniaeの子宮内感染により,双胎第1子のみ出生直後から重篤な症状を示した極低出生体重児例

齊藤 祐弥1), 小池 大輔1), 平出 智裕1), 加藤 文英2), 成相 昭吉1)

1)島根県立中央病院母性小児診療部小児科 2)同 新生児科


症例は,在胎29週2日,出生体重1080gの双胎第1子の男児.母体は2週間前から前期破水の診断でアンピシリン(ampicillin;ABPC)が投与されていた.出生直後から重度の呼吸障害,循環障害が認められ,早発型感染症としてすぐに抗菌薬治療を行ったが全身状態は悪化した.γグロブリンやステロイド投与に加え,カテコラミン投与,一酸化窒素吸入療法など,集学的な治療により救命することが出来た.血液培養を除く,胃液,鼻腔,皮膚,咽頭,便培養からKlebsiella pneumoniaeが検出され,胎盤病理で絨毛膜羊膜炎の所見があり,胎盤の胎児側からグラム陰性桿菌が認められたため,K. pneumoniaeによる子宮内感染と診断した.第2子からもK. pneumoniaeが検出されたが症状は軽微であった.グラム陰性菌による早発型感染症は急激な経過を辿ることが多いため,生直後からの速やかな対応が必要である.また,母子感染の予防においては,ペニシリン耐性のグラム陰性菌の感染を考慮する必要がある.

Key words Klebsiella pneumoniae, 新生児早発型感染症, グラム陰性桿菌, 母子感染
連絡先 齊藤祐弥 〒420-8660 静岡市葵区漆山860 静岡県立こども病院
受付日 2019年12月19日
受理日 2020年6月23日

小児感染免疫 32 (3):228─233,2020

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