─症例報告─
10代の百日咳感染による窒息様無呼吸発作に対してフェノバルビタールが奏功した2例
石川 真紀子1), 中島 千賀子1), 小池 宏美1), 三村 成巨1), 黒沢 祥浩1)
1)上尾中央総合病院小児科
はじめに:10代の百日咳感染では夜間の窒息様無呼吸発作をきたすことがある.今回我々は乳児のwhoopingに使用されていたフェノバルビタールを窒息様無呼吸発作に投与し著効した2例を経験したので報告する.
症例1:10歳男児.1か月前から持続する咳嗽を主訴に当科を受診.母も同症状がありLAMP法で百日咳と診断されていた.1週間前から夜間の窒息様無呼吸が頻回に出現し,眠れないため当科に入院.フェノバルビタールの内服を開始したところ,夜間の無呼吸発作は消失し,1週間内服を継続し終了した.その後再燃は認めず,後日百日咳の確定診断に至った.
症例2:12歳女児.3週間前から持続する咳嗽を主訴に当科を受診.鎮咳薬とミノサイクリンの内服では改善せず,夜間の窒息様無呼吸発作がみられたため,百日咳を疑いフェノバルビタールの内服を追加した.同日夜から,夜間の咳嗽と無呼吸発作は消失し眠れるようになり,後日百日咳の確定診断に至った.
まとめ:10代の百日咳感染による夜間の窒息様無呼吸発作に対して,フェノバルビタール内服が有用である可能性が示唆された.
Key words | 百日咳, 窒息, 無呼吸, フェノバルビタール |
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連絡先 | 石川真紀子 〒362-8588 上尾市柏座1-10-10 上尾中央総合病院小児科 |
受付日 | 2019年12月27日 |
受理日 | 2020年4月24日 |
小児感染免疫 32 (3):215─219,2020
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