─症例報告─
若年性特発性関節炎様の症状を呈しChlamydophila pneumoniae感染症の関与が考えられた反応性関節炎の1例
野田 晴香1), 河野 好彦1), 中村 奈都紀1), 原 紳也1)
1)トヨタ記念病院小児科
若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis;JIA)様の症状を呈したが,臨床経過と検査結果からChlamydophila pneumoniae感染症が先行して発症したと考えられた反応性関節炎(reactive arthritis;ReA)と診断した1例を経験した.症例は5歳男児.発熱と多関節痛による体動困難のため当院へ救急搬送され,血液検査で炎症反応の上昇を,MRI検査で多関節の滑膜炎を認めた.発熱と強い多関節痛が持続しJIAも疑われたが,入院時の血液検査でC. pneumoniae IgM抗体価の上昇を認め,その後の経過からC. pneumoniae感染症が関与したReAと診断した.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)内服後に関節痛は著明な改善を認めた.ReAは先行感染後下肢に好発する軽度の単または少関節炎だが,C. pneumoniae感染後のReAについての報告は少ない.ReAとJIAでは治療薬の選択や合併症が異なるため,先行感染の病原体を同定しReAと診断することは重要である.
Key words | 反応性関節炎, Chlamydophila pneumoniae, 若年性特発性関節炎 |
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連絡先 | 野田晴香 〒471-8513 豊田市平和町1-1 トヨタ記念病院小児科 |
受付日 | 2019年12月27日 |
受理日 | 2020年4月20日 |
小児感染免疫 32 (3):208─214,2020
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