機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─症例報告─

コルヒチンと低用量ピルで改善した非典型的家族性地中海熱の14歳女子例

太田 安孝1), 中坪 久乃1), 渡辺 一洋1), 篠崎 健太郎1)

1)黒部市民病院小児科


家族性地中海熱(familial Mediterranean fever;FMF)はわが国では比較的稀な疾患とされるが,炎症性腸疾患やリウマチ性疾患,子宮内膜症に類似した症例でMEFV遺伝子変異が見いだされることがある.われわれは,月経前後に発熱,消化器症状を繰り返し,イレウスと骨盤内の囊胞性病変を合併した14歳女子を経験し,MEFV exon2のG304Rヘテロ接合体変異を認めて非典型的FMFと診断した.しかし,コルヒチンのみでは症状のコントロールがつかず,コルヒチンの増量と1相性低用量ピル(マーベロン)を併用することで症状の改善が得られた.月経期に症状を認めるFMF症例に対してコルヒチンの効果が乏しい場合は,低用量ピルの併用が有効である可能性が示唆される.

Key words 家族性地中海熱, 月経, コルヒチン, 低用量ピル
連絡先 太田安孝 〒938-8502 黒部市三日市1108-1 黒部市民病院小児科
受付日 2019年12月5日
受理日 2020年4月16日

小児感染免疫 32 (3):202─207,2020

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