─症例報告─
てんかん発症を契機に後方視的に診断された先天性サイトメガロウイルス感染の幼児例
山岡 沙矢子1), 茂原 慶一1), 大内 一孝1)
1)綾部市立病院小児科
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染は,胎児期・出生時に症状を示さず,新生児期に診断されないことが多い.しかし,その一部は難聴,精神発達遅滞,てんかんなどの神経学的障害を遅発性に認めることが知られている.今回,てんかんを発症した1歳児で,診断時に難聴や精神発達遅滞を認めなかったが,後方視的に先天性CMV感染と診断できた一例を経験した.症例は,1歳5か月男児.眼球上転を伴う全身強直性けいれんに続く意識障害と脳波検査で後頭部優位の高振幅徐波を認め,頭部MRI検査では脳室周囲と皮質下白質に散在性の異常信号を認めた.急性散在性脳脊髄炎が否定できず,ステロイドパルス療法を1クール施行したが,白質病変に変化はなかった.白質ジストロフィーを除外し,乾燥臍帯と出生後の濾紙血を用いたCMV-PCR法で先天性CMV感染と診断した.先天性CMV感染の臨床スペクトラムは幅広く,また非特異的であるため,しばしば他の疾患との鑑別を要する場合がある.典型的な症状が揃わなくとも,画像所見で白質病変を認める場合は,先天性CMV感染を鑑別に挙げる必要がある.
Key words | 先天性サイトメガロウイルス感染, てんかん, 白質病変, 乾燥保存臍帯, 乾燥濾紙血 |
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連絡先 | 山岡沙矢子 〒623-0011 綾部市青野町大塚20-1 綾部市立病院小児科 |
受付日 | 2020年2月4日 |
受理日 | 2020年4月15日 |
小児感染免疫 32 (3):195─201,2020
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