─原著─
インフルエンザワクチン接種後の副反応に関する検討
森 翔1), 長尾 みづほ1), 菅 秀1), 藤澤 隆夫1)
1)国立病院機構三重病院小児科
インフルエンザワクチン副反応(AE)には強い局所反応(LR)やアナフィラキシー(An)があるが,病態は十分解明されているわけではない.本研究ではAEの免疫学的機序とAnリスク因子解明を目的に,症例集積による検討を行った.症例はAn 12名(A群),LR 33名(L群)で,年齢中央値はA群4.5歳,L群3.5歳,男女比はA群10/2,L群22/11であった.合併疾患はアレルギー疾患のみで,アトピー性皮膚炎がそれぞれ36%,11%,食物アレルギー36%,32%,喘息9%,29%であった.39項目の特異的IgE抗体測定(View 39)によるアレルゲン感作は,それぞれ90%,80%が何らかのアレルゲンに陽性,陽性アレルゲン数は11,10で両群に差はなかった.ワクチンを用いたプリックテストはA群で100%,L群で24%が陽性,好塩基球活性化試験は100%,97%が陽性であった.L群の13例に抗ヒスタミン薬を前投与して再接種を行ったところ,12例で腫脹が軽減された.以上より,AEはインフルエンザワクチンに対する特異的IgE抗体を介すると推定された.男児,アレルギー素因のある者に多いが,An予測因子は特定できなかった.
Key words | インフルエンザワクチン, アナフィラキシー, 局所反応, 特異的IgE抗体, 好塩基球活性化試験 |
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連絡先 | 森 翔 〒514-0125 津市大里窪田町357 国立病院機構三重病院小児科 |
受付日 | 2019年12月27日 |
受理日 | 2020年5月15日 |
小児感染免疫 32 (3):179─186,2020
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