─原著─
京都府内における流行性耳下腺炎の実態調査
伊藤 陽里1), 松田 義和1), 禹 満1), 清水 恒広1), 竹内 宏一1)
1)京都府医師会 感染症対策委員会
緒言:京都府医師会感染症対策委員会は府内の流行性耳下腺炎の前向き実態調査を行った.
方法:府内で流行性耳下腺炎の診療に携わる全ての病院,診療所に調査票を送付し,年齢,性別,ワクチン接種歴,集団生活の有無,発症日,診断日,症状,合併症の有無,入院の有無を調査した.
結果:H29/7/1~H30/6/30に2,185施設中468施設(21.4%)より742例登録された.4~7歳が219例,60歳以上は4例で性差はなく,同胞有は326例で無の4倍多く,92%が幼稚園・保育園と小学校に属し,自宅保育発症は3%だった.無菌性髄膜炎合併例は4例(0.5%)(ムンプスワクチン未接種3例,接種3年後発症1例)だった.742例中285例は担当医の追跡検討で流行性耳下腺炎と確定診断された.そのうち接種後発症は115例(40.4%)(1回接種80例,2回接種8例,不明27例)で,接種歴が明らかな88例中接種3年後の発症が17例(19.3%)と最も多かった.
考察:府内総病院数を基に修正し,流行性耳下腺炎症例数は3,920例/年と推計した.また,ムンプスワクチンは3年以内に2回接種すれば予防効果が高いと推測した.
Key words | 流行性耳下腺炎, 全数把握, ムンプスワクチン, 2回接種, 接種間隔 |
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連絡先 | 伊藤陽里 〒604-8585 京都市中京区西ノ京東栂尾町6 京都府医師会 感染症対策委員会 |
受付日 | 2019年12月10日 |
受理日 | 2020年4月30日 |
小児感染免疫 32 (3):170─178,2020
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