─症例報告─
ヒトパレコウイルス4型感染症の4乳児例
大砂 光正1), 山下 舞子1), 田中 文子1)
1)済生会横浜市南部病院
ヒトパレコウイルス(human parechovirus;HPeV)は,乳幼児における軽症の呼吸器あるいは消化器感染症の起炎ウイルスとして知られている.しかし,新生児や早期乳児がHPeV-3に感染すると,ときに敗血症や髄膜炎などの重症感染症をきたす.HPeVのうち1型(HPeV-1)と3型(HPeV-3)は検出頻度が高いが,その他の型は少ない.4型(HPeV-4)感染症に関しては,数例の新生児の症例報告があるのみで日本にまとまった報告はない.
2018年夏にHPeV-4感染症の4乳児例を経験した.4症例ともに発熱を主訴に受診し,入院した.いずれも初診時に高熱と頻脈を認め,全身炎症反応症候群(SIRS)の定義を満たしウイルス性敗血症と診断したが,発熱の持続は12〜30時間と短期間であった.呼吸器症状や胃腸炎症状を認めた症例はなかった.3例は哺乳不良,1例は解熱後に著明な肝逸脱酵素の上昇を認めた.咽頭や便からHPeV-4が検出され,HPeV-4感染症と診断した.新生児や早期乳児のHPeV-4感染症では,HPeV-3感染時と同様に初期には重症感染症を思わせるが,本症例では発熱期間はHPeV-3感染症と比較して短く,予後は良好であった.
Key words | ヒトパレコウイルス4型, 乳児, 敗血症, SIRS(全身炎症反応症候群) |
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連絡先 | 大砂光正 〒231-8682 横浜市中区新山下3-12-1 横浜市立みなと赤十字病院 |
受付日 | 2019年10月15日 |
受理日 | 2020年3月3日 |
小児感染免疫 32 (2):128─133,2020
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