─症例報告─
予防的エタノールロック療法によりカテーテル関連血流感染症の頻度が減少した中心静脈栄養依存腸管機能不全の2症例
島 孝典1), 中河 秀憲1), 西原 正人1)
1)淀川キリスト教病院小児科
Hirschsprung病などの腸管機能不全では短腸症候群・吸収不良症候群をきたし在宅中心静脈栄養療法が必要となることがある.長期間の中心静脈カテーテル留置による合併症のうち,カテーテル関連血流感染症(catheter-related bloodstream infection;CRBSI)は繰り返すことが多く,頻回の入院やカテーテルの入れ替えなどが必要となり患者のQOL(quality of life)が大きく損なわれる.近年,CRBSIの予防目的に70%エタノールでカテーテル内を一定時間充填する予防的エタノールロック療法の有効性が報告されてきているが,日本での報告は限られている.今回,我々はCRBSIを繰り返していた腸管機能不全患者2症例に予防的エタノールロック療法を導入しCRBSIによる入院頻度を減少させることができた.症例1は慢性特発性偽性腸閉塞症の33歳男性.導入前までCRBSIを5〜6回/年認め入院していたが,導入後は頻度が0〜2回/年にまで減少した.症例2はHirschsprung病の5歳女児.導入前のCRBSIの頻度は5〜6回/年であったが,導入後は頻度が減少した.予防的エタノールロック療法の具体的な方法は定まっておらず,統一化が望まれる.
Key words | 予防的エタノールロック療法, カテーテル関連血流感染症, 腸管機能不全, 短腸症候群, 在宅中心静脈栄養 |
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連絡先 | 島 孝典 〒533-0024 大阪市東淀川区柴島1-7-50 淀川キリスト教病院小児科 |
受付日 | 2019年8月6日 |
受理日 | 2020年1月23日 |
小児感染免疫 32 (2):109─114,2020
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