機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

小児血液腫瘍患者における緑色連鎖球菌菌血症の臨床像

永澤 俊1), 荒木 孝太郎2,3), 福岡 かほる2,3), 幡谷 浩史1), 堀越 裕歩2,3)

1)東京都立小児総合医療センター総合診療科 2)同 感染症科 3)同 免疫科


緑色連鎖球菌(viridans group streptococci;VGS)は病原性の低い口腔内常在菌として知られているが,好中球減少などの免疫抑制状態の児においては菌血症の重要な起因菌となり得る.小児血液腫瘍疾患におけるVGS菌血症の臨床的特徴を明らかにすることを目的に後方視的検討を行った.
2010年3月〜2018年12月に,東京都立小児総合医療センター血液腫瘍科で化学療法もしくは造血幹細胞移植を受け,かつVGS菌血症を発症した症例を対象とした.
39例が対象で基礎疾患は急性骨髄性白血病16例(41%),前駆B細胞性急性リンパ球性白血病10例(26%)の順に多かった.好中球減少(500/µL未満)は37例(95%)に認め,発熱以外の症状は消化器症状9例(23%),口腔粘膜障害6例(15%)の順に多かった.抗がん剤はシタラビン(大量療法を含む)26例(67%)が最多であった.37例(95%)で培養採取後にセフェピムが開始され,33例(85%)で血液培養陽性時にバンコマイシンが追加された.同定された菌種はStreptococcus mitisが19例(49%)で最多であった.7例(18%)がセフェピム耐性,全例でバンコマイシン感性だった.
血液培養でグラム陽性球菌陽性が判明した時点でバンコマイシンの併用を考慮しても良いかもしれない.

Key words 緑色連鎖球菌菌血症, 菌血症, 小児血液腫瘍
連絡先 永澤 俊 〒183-8561 府中市武蔵台2-8-29 東京都立小児総合医療センター総合診療科
受付日 2019年10月31日
受理日 2020年3月5日

小児感染免疫 32 (2):102─108,2020

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