─原著─
ロタウイルス胃腸炎入院症例における重症度スコアを用いたロタウイルスワクチンの臨床的評価
早田 衣里1), 藤森 誠1), 廣瀬 翔子1), 濱田 洋通1), 髙梨 潤一1)
1)東京女子医科大学八千代医療センター
本邦では2011年よりロタウイルスワクチンの任意接種が開始された.当院におけるロタウイルスワクチン普及前後でのロタウイルス胃腸炎入院患児の臨床的差異について後方視的検討を行った.
2007年1月〜2016年12月にロタウイルス胃腸炎の診断で入院した15歳未満の症例を対象とし,当院の位置する千葉県八千代市でのロタウイルスワクチン接種率が50%を超えた2013年を境に2群に分け入院数,月齢,性別,modified Vesikari score(MVS),入院期間について比較検討を行った.
2007〜2012年群(ワクチン普及前)は140症例,2013〜2016年群(普及後)は22症例であり全症例ロタウイルスワクチン未接種であった.平均年間入院数はワクチン普及前後で23.3人/年から4.4人/年と81.1%減少した.性別,入院期間では有意差はなかったが,月齢の中央値は22か月から33か月と有意に上昇し(p<0.001),MVSの中央値は16より14と有意に低下した(p<0.001).今後さらなるワクチン普及により重症度は低下し,いずれの年齢層においても重症ロタウイルス感染症の予防が期待できると考えられた.
Key words | ロタウイルス胃腸炎, ロタウイルスワクチン, 予防接種, modified Vesikari score, 小児 |
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連絡先 | 早田衣里 〒276-8524 八千代市大和田新田477-96 東京女子医科大学八千代医療センター小児科 |
受付日 | 2019年10月3日 |
受理日 | 2020年1月23日 |
小児感染免疫 32 (2):95─101,2020
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