─原著─
相模原におけるRSウイルス感染症の流行期に関する検討
大谷 清孝1,2), 稲垣 瞳1)
1)相模原協同病院小児科 2)きりんキッズアレルギークリニック
背景・目的:Respiratory syncytial virus(RSV)感染症の流行期の変遷と夏季に流行する臨床像および気象条件との関連性に関する報告は少ない.
方法:2003年4月1日〜2018年3月31日の期間に相模原市にある当院に入院したRSV感染症の小児を対象として流行期の変遷について後方視的に検討した.RSV感染症の月別入院数が最多の月を流行期とし,RSV感染症の診断は迅速検査キットが陽性とした.また,RSV感染症が冬季に流行した2006年と夏季に流行した2017年の臨床像と気象条件を比較検討した.
結果:対象は1026名(男児587名)で,月齢中央値(四分位)は8か月(3〜17か月)であった.5年毎に群分けした流行期の変遷では,入院患者数が夏季で徐々に増加し,冬季で徐々に減少していた.2006年の65名(男児32名)と2017年の89名(男児45名)の臨床像に関する比較検討では,体温が2006年の37.4℃(36.9〜38.0℃)より2017年の37.8℃(37.1〜38.3℃)方が有意に高かった(p=0.02).気象条件では,両年における平均気温と平均湿度の推移は類似していた.
結論:相模原においてRSV感染症の流行期が夏季に移行しつつあったが,RSV感染症における臨床像の変化を認めず,気象条件との関連性を見いだせなかった.
Key words | RSウイルス, 流行期, 季節, 気象, パリビズマブ |
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連絡先 | 大谷清孝 〒252-5188 相模原市緑区橋本2-8-18 相模原協同病院小児科 |
受付日 | 2018年11月22日 |
受理日 | 2019年12月4日 |
小児感染免疫 32 (2):83─93,2020
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