─症例報告─

ワクチン未接種児を発端とした乳幼児における麻疹集団発生

清水　博之^1,2）, 江田　明日香^3）, 片山　公美^4）, 阿南　弥生子^4）, 鈴木　理恵子^5）, 髙崎　智彦^5）

1）藤沢市民病院臨床検査科　2）同　ICT　3）かるがも藤沢クリニック　4）藤沢市保健所
5）神奈川県衛生研究所

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2019年3月，神奈川県藤沢市内で乳幼児を中心とした8名の麻疹患者の集団発生を経験した．発端者は生来健康で，海外渡航歴のない2歳女児．保護者の信条的な理由によりすべてのワクチンを接種していない児であった．確定診断されるまでに通院していた小児科クリニックや，通園していた保育園などでの接触者が，終息するまでに合計620名に達した．最終的に保育園で接触した3名および小児科クリニックで接触した2名の合計5名が二次感染した．さらに保育園で1名，二次感染児の同居家族1名が三次感染した．発症した8名のうち，ワクチン未接種者は4名，ワクチン1回接種者が4名であり，ワクチン2回接種者での発症者はいなかった．また，ワクチン未接種者のうち1名は曝露後，緊急でワクチンを接種したが発症した．総合病院である当院と，管轄の保健所，小児科クリニックが密に連携し，迅速な初動対応を行うことで早期の終息宣言ができた．

Key words	麻疹, ワクチン, 修飾麻疹, PCR, ワクチン忌避
連絡先	清水博之　〒251-8550　藤沢市藤沢2-6-1　藤沢市民病院臨床検査科
受付日	2019年9月5日
受理日	2019年12月28日

小児感染免疫 32 (1)：39─44,2020