─症例報告─
古典的三主徴を認めず血液培養が診断に有用だった腸チフスの再発例
相原 陽香1), 大熊 喜彰1), 山元 佳2), 吉本 民樹1), 吉本 優里1,3), 兼重 昌夫1), 田中 瑞恵1), 瓜生 英子1), 山中 純子1,3), 水上 愛弓1), 五石 圭司1), 佐藤 典子1), 七野 浩之1)
1)国立国際医療研究センター小児科 2)同 国際感染症センター 3)順天堂大学大学院医学研究科
腸チフスは東アジアに多い疾患であるが,本邦における小児例の報告は少ない.腸チフスの再発率は5~10%と比較的多く,治療終了後3~4週での再発が多いとされる.我々は,パキスタンから帰国2日後から発熱,水様便が出現し,セフトリアキソンで治療したが,治療終了24日後に再発した7歳女児の症例を経験した.小児例は症状が出現しにくく,さらに再発時は症状が軽微であることも多い.本症例では初発時,再発時ともに古典的三主徴である比較的徐脈,バラ疹,脾腫は認めず,初発時には血液培養のみ,再発時には血液培養と便培養が陽性となり,血液培養が診断根拠となった.腸チフスは発熱と非特異的な症状で発症することが多く,その診断においては適切な量の血液培養を採取することが極めて重要である.
Key words | 腸チフス, 古典的三主徴, 血液培養, 再発 |
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連絡先 | 相原陽香 〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1 国立国際医療研究センター小児科 |
受付日 | 2019年5月9日 |
受理日 | 2019年12月21日 |
小児感染免疫 32 (1):33─38,2020
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