機関誌「小児感染免疫」 オンラインジャーナル

抄録

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─原著─

神戸西地域中核病院における市中感染型小児侵襲性黄色ブドウ球菌感染症―1994~2019年の検討―

山田 早紀1), 竹本 崇之1), 磯目 賢一1), 堀 雅之1), 岩田 あや1), 松原 康策1)

1)神戸市立西神戸医療センター小児科


【背景】市中感染型侵襲性黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)感染症の臨床的特徴と,原因菌に占めるMRSAの割合の推移に関して,長期間の研究報告は少ない.
【対象と方法】神戸市立西神戸医療センターで1994年8月~2019年3月の約25年間に,無菌部位から黄ブ菌が分離された市中感染型小児例を対象とした.研究期間を1994年8月~2000年:1期,2001~2006年:2期,2007~2012年:3期,2013~2019年3月:4期に分類し,後方視的に検討した.
【結果】該当した30症例の診断分類は関節炎・骨髄炎(18例)が最多で,感染巣のない菌血症(3例)が次いだ.原因菌はMSSA 24例,MRSA 6例であった.発症数は1期4例,2期5例,3期10例,4期11例と増加した.前半2期比で後半2期は発症数(p<0.01)も,対1,000入院数比(p=0.049)も有意な増加を認めた.MRSAは1~3期で認めたが4期は0例であった.アトピー性皮膚炎を9例に認めた.
【結論】市中感染型侵襲性黄ブ菌感染症は研究期間後半で増加したが,MRSAの割合は2013年以降減少した.アトピー性皮膚炎は本疾患の危険因子と示された.

Key words 黄色ブドウ球菌, 市中感染症, 侵襲性細菌感染症, 小児, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
連絡先 松原康策 〒651-2273 神戸市西区糀台5-7-1 神戸市立西神戸医療センター小児科
受付日 2019年7月10日
受理日 2019年10月10日

小児感染免疫 32 (1):3─10,2020

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